指定替えとは?株価への影響とその基準を初心者にもわかりやすく解説

指定替え

みなさんは「指定替え」という言葉をご存知でしょうか?

株式を発行して資金調達をおこなう企業は、東証一部やマザーズなど株式市場に上場しています。

ただし上場には条件があるので、ワンランク上の市場の上場基準を満たしたり、はたまた現在の市場の上場基準より悪化したりしてしまうと上場市場が移動となることがあります。

本記事ではそのような上場市場の移動を意味する表現の1つである指定替えについて、わかりやすく解説していきます。

この記事でわかること

  • 指定替えの意味
  • 指定替えが及ぼす企業やトレーダー、株価への影響
  • 指定替えの基準

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目次

指定替えって何?

みなさんがご存知のように、上場している企業は東京証券取引所が運営している株式市場である東証一部・東証二部・マザーズ・JASDAQのいずれかに上場しています。

これらの株式市場にはそれぞれ上場条件があり、条件を満たすと上場できるという仕組みになっています。

そこで「指定替え」とはどういう意味かというと、東京証券取引所内で上場市場を移動することです。

ただし厳密にはランクの高い市場へと昇格することを示しており、東証二部から東証一部、マザーズから東証二部…など上場市場の昇格に対して使われることが多くなります。

一般的に、ニュースや新聞などでは上記のように「上場市場の昇格」を指定替えとして表現することが多いです。

ですが厳密にいうと東京証券取引所では、東証二部から東証一部への昇格の場合は「一部指定」、マザーズやJASDAQから東証一部・東証二部への昇格の場合は「市場変更」という表現をして区別するとしています。

こちらについても知っておくといいでしょう。

このような上場市場の昇格には、現在上場している市場よりもワンランク上の市場の上場基準を満たす必要があります。

裏を返せば、現在東証一部に上場している企業がその基準を満たさなくなると、東証二部へと降格する可能性もあるということです。

企業の指定替えはどのような影響を及ぼす

私たちトレーダーは、証券取引所で取引されている、つまり上場している企業が発行している株式を売買しています。

そこで気になるのが、企業が指定替えを発表したときの株価に対する影響ではないでしょうか?

まず指定替えは上場市場の昇格を表しているので、上場基準がより厳しい市場への上場が可能になったということになります。

つまり企業そのものや株式の価値が上昇したということになるので、企業にとっても株主やトレーダーにとっても非常にうれしい出来事であるといっていいでしょう。

また、私たちトレーダーも東証二部よりも東証一部の上場基準が厳しいとわかっているからこそ、どちらかというと東証一部に上場している企業に信頼感を置いているため、投資対象として選択されやすいのです。

なんとなく「東証一部に上場している企業は知名度が高い」と感じている方も多いのではないでしょうか?

つまり東証一部に上場することは、資金調達を主な目的として株式を発行している企業からすると以前よりも資金調達の幅が厚くなることが期待できるので、たいへん望ましいビジネス環境だといえます。

とくにマザーズ上場企業やJASDAQ上場企業は、東証一部に指定替え(市場変更)されることをビジネス目標の1つとして掲げていることが多いです。

以上から、東証一部が持つブランド力の大きさがお分かりいただけるかと思います。

そして気になる指定替えによる株価への影響ですが、株価は上昇することが多いです。

要因はその企業や株式価値への期待が高まっていることはもちろんですが、ファンドを運用する機関投資家(アセットマネジメントや年金基金)は東証一部上場銘柄を投資対象として重視することが多いからです。

というのも、東証二部やマザーズ、JASDAQに上場していた企業が東証一部に指定替えされたことで機関投資家の投資対象として目に留まる可能性があるので、それだけ株価が上昇しやすいということになります。

逆に東証二部から東証一部に降格すると、機関投資家はその銘柄を売りに出す可能性が高いということも想像がつくかと思います。

つまり上場市場の昇格(指定替え)と降格は、企業にとって非常に明暗が分かれやすい出来事であることがわかります。

講座

東証二部から東証一部への指定替え基準

では、東証二部から東証一部への具体的な指定替え基準(一部を抜粋)を見ていきます。東証一部上場というブランド力を得るにあたって、どのような基準が設けられているのか気になりますよね。

  • 株主数(指定時の見込み)…2,200人以上
  • 流通株式について(指定時の見込み)流通株式数:2万単位以上、流通株式時価総額:20億円以上、流通株式数(比率):上場株券等の35%以上
  • 売買高…申請日の前の月以前3カ月間およびその前の3カ月間の月平均売買高が200単位以上
  • 時価総額(指定時の見込み)…40億円以上
  • 純資産額(指定時の見込み)…連結純資産額が10億円以上
  • 利益額または時価総額…以下のいずれかに該当すること。直近2年間の利益総額が5億円以上 or 時価総額が500億円以上
  • 単元株式数(指定時の見込み)…100株 など

上記以外にも、

  • 継続的に事業を営み、かつ安定的な収益基盤があること
  • コーポレートガバナンスが徹底されていること
  • 企業内容の開示を適正におこなえること など

といった要件も定められています。

指定替えするハードルが高い分、実行された際の株価へのインパクトもありそうですね。

実際に、株価チャートを見ていると事前に兆候が見えてくることもあるかもしれませんので、ある程度経験がある方であればこうした銘柄に目を付けてみるのもおもしろいかもしれませんね。

しかし、株初心者の方はまずは安定した銘柄でトレードの技術を磨くとよいでしょう。

初心者におすすめの株の買い方とは?プロも活用する3つの基本ポイントを押さえようの記事の中で、初心者の方でもトレードをしやすい銘柄の選び方について解説していますので、こちらの記事をご参考にしてみてください。

講座

まとめ

  • 指定替えとは、上場市場が昇格となること
  • 東証二部から東証一部への昇格を「一部指定」、マザーズやJASDAQから東証一部・東証二部への昇格を「市場変更」ということもある
  • 指定替えがおこなわれると株価は上昇すると予想される

いかがでしたでしょうか?

本記事では、上場市場の昇格を示す指定替えについて解説しました。

私たちが投資をする企業のビジネス環境は移り変わっていくものなので、とくに株価変動の要因となる指定替えについてはきちんと知識を身に付けておく必要があります。

ニュースや新聞、企業の発表などで指定替えという言葉を目にした際は、企業を客観的に見て投資対象を判断していきましょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール

トレード歴40年の株職人。“株匠” を目指している。
20歳で株の売買を始めてから20年間、
「日本郵船」1銘柄のみの「売り」「買い」に集中、大きな利益を重ねる。
その後、宮本武蔵が洞窟に籠もるかの如く、チャートと建玉の研究に没頭する。

現在も、チャートと建玉の操作のトレード手法をさらに極めるべく精進を重ねており、
日本株、米国株、イタリア指数、イギリス指数、ユーロ指数、金、原油、コーン、FXなど、
どの市場でも大きな利益を生み出している。

ラジオNIKKEI「相場師朗の株は技術だ!」でキャスターを務める。
東京証券取引所北浜投資塾講師、日本経済新聞社お金の学校講師。

この記事を書いた人

著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。

地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。

その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。

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