近年、円安が進んでおり、経済ニュースなどで頻繁に耳にする方も多いのではないでしょうか。
「円安」とは、簡単に言うと、1ドルで円がより多く買える状態を指します。
では、円安になると私たちの生活や経済にどのような影響があるのでしょうか?
特に、企業の業績に与える影響は大きく、円安によって業績が伸びやすい業界も存在します。
そこでこの記事では、円安の概要や影響、原因、円安によって業績が上向きになる業界を紹介します。
円安が進む中でも安定的に投資の成果をあげたい方は、最後まで読んでみてください。
円安・円高とはどういう状態?
円安・円高それぞれどのような状態のことを指すのでしょうか。
この章では、円安・円高のそれぞれの定義について解説します。
円安とは?
円安とは日本の円の価値が外貨と比較した時に低くなる状態のことを指します。
例えば、1ドル100円の時に円をドルに交換して、3か月後に1ドル200円になっていたら円安が進んだことになります。
仮に上記の状態でドルから円に換金した場合、差益分の100円が手元に入ります。
円安状況下だと、外貨の価値が上がるので、輸出が促進される一方で、輸入品の物価が上昇します。
円高とは?
一方で円高は日本の円の価値が外貨と比較した時に高くなる状態のことを指します。
例えば、100円の時に円をドルを交換して、3か月後に1ドル50円になっていたら円高が進んだことになります。
円高の状況下だと、円の価値が上昇するので、海外旅行にお得に行けることや輸入品を比較的安く購入することができます。
円安になる原因は?
円安になってしまう原因としてどのようなものが挙げられるのでしょうか。
一般的には、円の需要が落ちると円安がすすむと言われています。
この章では円安になる原因について解説します。
くわしくは下記のとおりです。
金利差の拡大
金利差は円安を加速させる主な要因の1つです。
日本では、長期間にわたって低金利政策を行なってきており、アメリカと金利差が拡大しました。
金利差が拡大すると、リターンを最大化するために投資家は、より高い金利を得ることができる国の通貨に資金を移動させます。
このように金利差が拡大すると、円を売ってドル買う動きが優勢になり、比例して円の需要が落ちるので円安の原因になります。
世界経済の変動
世界経済の変動も円安の原因の一つです。
世界経済の見通しが明るい時、投資家はリスクを取ることに積極的になります。
より金利の高い通貨や経済成長を見込める国に投資をするようになります。
円より魅力的な投資先がある時に資金が他の通貨に移動し、円安が加速します。
金融緩和政策
金融緩和政策も円安を加速させる原因となります。
金融緩和政策とは、お金の供給量を増やすことで経済の活発化を図り、景気回復を目指す金融政策です。
金融緩和政策によって低い金利の状態が続くと、低い金利の円を売ってより金利の高い外貨に乗り換えられてしまい、結果として円安が進行します。
円安になるとどうなる?
実際に円安になるとどうなるのでしょうか。
この章では、円安になるとどのような影響や変化があるのについて解説します。
輸出産業が好調になる
円安になると輸出産業が好調になります。
海外で稼いだ外貨を円に変えた時の売上が増えるため、業績が上向きになります。
また、為替変動で増えた金額分を割り引くことで価格競争力も高まります。
輸出関連銘柄は、日銀による利上げ発表時や為替介入など円高に大きく振れるタイミングで株価が下落しやすいので注意しましょう。
輸入産業が不調になる
円安になると海外から輸入が必要となる企業は下火になります。
円高の状況下であれば安く仕入れができたものが、円安になると割高になってしまうからです。
円安は輸入を行なう企業にとっては不利な状況と言えます。
金利差の拡大や低金利の状態の継続など、さらに円安が加速した場合、株価が急激に下落することもあるので注意しましょう。
外貨建て資産の価値が上がる
円安になると外貨建て資産の価値が上がります。
例えば1ドル145円の時に円を預けて、3か月後に1ドル150円になっていたら5円の差益が生まれます。
円高の時に外貨資産を購入しておくと、円安の局面になった時に差益を生み出すことができます。
円安が進めば進むほど円の価値は下がっていくので、外貨も保有しておくといいでしょう。
円安で業績が上がりやすい業種
円安になると具体的にどのような業種が上向きになるのでしょうか。
この章では、円安が追い風になる業種を紹介します。
くわしくは下記のとおりです。
自動車
自動車業界は海外売上比率の高い業界の1つであり、円安がどれだけ進むのかによって売上金額も変動します。
業界最大手のトヨタ自動車は、ドル円レートで1円、円安にすすむだけで500億円の利益が発生すると言われています。
特に北米での売上が多く、ドルと比較して円の価値が安くなるとその分儲かる仕組みになっています。
総合商社
総合商社も円安が追い風になる業界の1つです。
総合商社のビジネスは、「事業投資」と「仲介取引」の2つがあり、どちらも為替の変動によって収益が大きく変わります。
まず事業投資で海外企業に投資した場合、配当は外貨建てで入ってくるため円安にふれればその分収益が増えます。
また、仲介取引は、メーカーの商品を海外の取引先に販売した時に手数料をもらうビジネスモデルとなっており、海外企業からの依頼の場合、外貨建てで手数料をもらうことができるので為替変動の恩恵を受けることができます。
円安に備えてできること
円安が進めば進むほど円の価値は下がります。
円安が進行しても安心な状態を作るにはどのような対策をすればいいのでしょうか。
この章では、円安に備えてできることを紹介します。
くわしくは、下記のとおりです。
外貨建ての資産を保有する
外貨建ての資産を保有することで資産の減少を抑制することができます。
また、円より金利の高い通貨に交換することで、利息を多く受け取り資産増加に繋がる可能性もあります。
円安の局面がずっと続くわけではないので、円建て資産と外貨資産をバランスよく保有しておくといいでしょう。
分散投資をする
分散投資も円安に大きく振れた時の備えに有効な手段です。
投資対象を分散させることで円安時に大きく資産を減らしてしまうリスクを軽減できます。
投資対象の国や地域の分散、株式や債券など商品の分散、円やドルなど通貨の分散、積立による時間の分散などが可能です。
円安の局面だからこそ値上がりする投資商品もあるため、分散投資も資産を減らさないための有効な手段の1つと言えるでしょう。
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まとめ
円安とは、日本円の価値が外貨と比較して低い状態のことを指します。
金利格差の拡大などにより円の需要が落ちると円安が加速します。
また、円安がすすむと海外を相手にビジネスを行なう輸出産業が好調になり、海外から輸入をしてビジネスをする輸入産業が下火になります。
円安は進めば進むほど円の価値が減っていくため、外貨建ての資産も持っておくことや分散投資をすなるなどして対策をしましょう。
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