米国株は、産業によって11種類の「セクター」に分けられています。
米国株に関するニュースなどで「〇〇セクター市場」、「△△セクター軒並み売られる(買われる)」といった文言を見かけたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、米国株投資をもっとスムーズにおこなうために知っておきたい「セクター」について詳しく解説していきます。
セクターによっては、日本人の私たちにとっても非常に馴染みのある企業が属しているものもあるので、これを機に米国株を身近に感じることができるかもしれません。
この記事でわかること
- 米国株を分類するセクターについて
- S&P500におけるセクター構成比率
- 各セクターの概要と主要銘柄
米国株を分類するセクターとは?
米国株は、産業によって全部で11のカテゴリに分けられています。
これを「セクター」といい、同じセクターの銘柄は、株価が似たような値動きをしやすい傾向にあるといえるでしょう。
この分類のことを正式名称で「Global Industry Classification Standard(世界産業分類基準)」といい、「GISC」という略称で親しまれています。
1999年に、米国の格付け会社であるS&P(Standard & Poor’s)と、機関投資家向けに指数や投資分析ツールを適用するMSCI(Morgan Stanley Capital International)によって共同開発されたものです。
この際、11のセクターに分けるだけではなく、その下位階層として24の産業グループ、69の産業、158の産業サブグループにも分類がおこなわれています。
ちなみに、このセクターという概念は世界中の金融機関で標準化されているものなので、ぜひ知っておいてください。
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米国の株価指数「S&P500」におけるセクター構成比率
上記で見たように、米国株は大きく11のセクターに分類されています。
各セクターについては以下で詳しくご説明しますが、まずは各セクターがどのくらいの比率で存在しているのかが気になる方も多いはずです。
そこで本記事では、米国の代表的な株価指数であるS&P500を参考にして、セクター構成比率を見ていきたいと思います。
(図1参考:https://www.spglobal.com/spdji/en/indices/equity/sp-500/#data)
図1からわかるように、情報技術セクターつまりテクノロジー企業が全体の4分の1以上を占めていますね。
情報技術セクターは、業績によって株価の乱高下が激しいものの、テクノロジーが発展しているという時代背景もあり、マーケット状況が良いときにはS&P500を下支えしています。
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11種類のセクターに関する説明と主要銘柄
次に、11種類あるセクターのそれぞれについて、詳しく解説していきます。
また、各セクターの主要銘柄もご紹介するので、イメージしやすくなるのではないでしょうか。
みなさんがご存知の米国企業がどのセクターに属しているのか、ぜひ予想しながら読んでみてください。
①情報技術セクター
上記でも少し触れた情報技術セクターは、ITサービスを中心に提供しており、これからも高い成長性が期待されています。
世界の時価総額ランキングでも上位に位置するような企業が多く属しているという特徴があります。
【主要銘柄】
- アップル
- マイクロソフト
- ビザ
- インテル
②ヘルスケアセクター
ヘルスケアセクターは、医薬品や医療機器に関する研究や製造を行う企業が属しています。
米国は医薬品開発(治験)数、医薬品販売シェアともに世界一であり、今後も新薬開発への投資もしっかりとおこなわれていくので、成長が期待されているセクターです。
【主要銘柄】
- ジョンソン・エンド・ジョンソン
- ユナイテッドヘルス・グループ
- アッヴィ
- ファイザー
③一般消費財セクター
一般消費財セクターは、自動車やアパレル、レジャー用品、ホテルレストランなど、消費者向け小売業・製造業・サービス業を展開する企業が属しています。
消費者向けということもあり、私たち日本人にも馴染みがある店舗やブランドが多いです。
【主要銘柄】
- アマゾン・ドット・コム
- ホーム・デポ
- マクドナルド
- ナイキ
④通信サービスセクター
通信サービスセクターは、固定回線やワイヤレス通信、光ファイバーなどのネットワークを利用した通信サービスや、放送・広告などを通してコンテンツを提供する事業を展開する企業が属しています。
現在は時代背景とともに、インターネットサービスや動画配信サービスがシェアを広げています。
【主要銘柄】
- フェイスブック
- アルファベット
- ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー
- ベライゾン・コミュニケーションズ
⑤金融セクター
金融セクターは、銀行や保険、証券会社、消費者金融など、貸付や保険、資産運用に関するサービスを提供する企業が属しています。
主な収益源は金利ということもあり、景気にかなり敏感な銘柄です。
金利上昇局面やマーケット状況が良いときには、強みを発揮します。
【主要銘柄】
- JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー
- バンク・オブ・アメリカ
- アメリカン・エキスプレス
- バークシャー・ハサウェイ
⑥資本財セクター
資本財セクターは、航空や鉄道、建設に関わる資材の製造・販売、商業サービスの提供を行う企業が属しています。
BtoBビジネスをメインとするセクターなので、私たち消費者にはあまり馴染みがないかもしれません。
【主要銘柄】
- ボーイング
- ハネウェル・インターナショナル
- ユニオン・パシフィック
- スリーエム
⑦生活必需品セクター
生活必需品セクターは、食品や日用品の製造・販売を行う企業が属しています。
生活に欠かせない商品を扱っているため、景気に左右されにくいセクターです。
【主要銘柄】
- プロクター・アンド・ギャンブル
- コカ・コーラ
- フィリップ・モリス
- ウォルマート
⑧公共事業セクター
公共事業セクターは、電力やガス、水道などのインフラを供給する企業が属しています。
こちらも生活必需品と同様に生活に欠かせないものなので、景気に左右されにくく株価の安定性が高いのが強みです。
⑨不動産セクター
不動産セクターは、さまざまな土地や物件の売買・貸借を扱う企業が属しています。
主な収益源が手数料であるため、消費者が気にするような景気や物価、金利などさまざまな要素の影響を受けやすいです。
⑩素材セクター
素材セクターは、化学材料や金属材料など、さまざまな業種の製品生産に欠かせない材料を製造する企業が属しています。
景気にとても敏感で、好況時には強みを発揮します。
インフレや金利高が進むときに仕込んでおきたいといわれるセクターです。
⑪エネルギーセクター
エネルギーセクターは、石油ビジネスをおこなう企業が属しています。
業績が、原油価格に大きく依存するのが特徴です。
構成銘柄には、石油の探索から開発を行う上流から、販売を行う下流まで幅広く含まれています。
【主要銘柄】
- エクソンモービル
- シェブロン
- ロイヤル・ダッチ・シェル
- エナジー・トランスファー
まとめ
- 米国株は、産業によって全部で11のセクターというカテゴリに分けられている
- S&P500においては、情報技術セクターが4分の1以上を占めている
いかがでしたでしょうか?
本記事では、米国株を分類するセクターについて解説しました。
11種類もあるのですぐに全部を覚えることは大変ですが、各セクターの特徴を覚えておくだけでも大いにトレードに役立ちます。
米国株に興味がある方は、各セクターについて学んで米国株の全体像について理解してみてから、トレードを始めてみるのも良いかもしれません。
著者プロフィール
根本 卓(株塾・インテク運営責任者)
1年間勉強・練習後に2013年から株式投資を運用資金30万円から開始。
地道に続け、7年後に月500万円の利益を出せるように。
その経験を活かし、株塾サービスに反映・インテク記事を書いています。